【プロ解説】これならコンパクトミニバンの大本命になれる!? 新型フリードのガソリンモデル『フリード AIR EX』に試乗
2024年6月28日にフルモデルチェンジを行ったコンパクトミニバンのホンダ フリード。
ガソリン、ハイブリッドのe:HEVともに2WDと4WDを用意し、発売から約1カ月後には約3万8000台の累計販売台数を記録するなど、好調なスタートを切っています。
そのヒミツを知るため、ガソリン車の上位グレード、フリード AIR EX(4WD)に試乗。車両紹介とともにインプレッションをお伝えします。
- Chapter
- 2つのスタイルで登場した新型フリード
- 扱いやすく、誰にでも好かれるクリーンなイメージのエクステリア
- 乗る人すべてを笑顔にする明るく快適な室内
- 走りと燃費性能を両立させたガソリンエンジン車
- 滑りやすい路面での性能をアップして安心感のある走りを実現
- 十分なトルクの1.5Lエンジン。室内の静粛性も高い
- 250万円〜という価格にも納得の新型フリードの高い完成度
2つのスタイルで登場した新型フリード
取り回ししやすいサイズのコンパクトミニバンとして、若い女性からアクティブシニアの男性まで、幅広いユーザーに支持されているホンダ フリード。
新型は、標準車のAIR(エアー)と、クロスオーバースタイルのCROSSTAR(クロスター)という2つのボディタイプが用意されます。
室内は、エアーが3列シートのみで6人または7人乗り、クロスターは3列シートの6人乗りと2列シートの5人乗りというラインナップで、2列シート仕様のフリード+(プラス)という呼び名は消滅しました。
パワートレーンは、すべてのタイプに1.5Lガソリンエンジンとハイブリッドのe:HEV(イーエイチイーブイ)が用意され、駆動方式はどちらも2WD(FF)と4WDが選べます。
そのなかから、今回はガソリンエンジンを積んだフリード エアー EXの4WDモデルに試乗しました。室内は、2列目にキャプテンシートを配置した6人乗り仕様です。
扱いやすく、誰にでも好かれるクリーンなイメージのエクステリア
新型フリード( エアー)のボディサイズは、全長4,310mm×全幅1,695mm×全高1,755mmで、5ナンバーサイズをキープしています。
一部のメディアで全高が105mm低くなったようにアナウンスされていますが、これはルーフアンテナの形状変更によるもので、車両自体の全高は先代と同じです。
ちなみにホイールアーチプロテクターが装着されるクロスターは、全幅が3ナンバー登録の1,720mmとなります。
シンプルな造形とノイズの少ないクリーンなサーフェイスで構成されたエクステリアは、硬質でボリュームのあるフロントのボンネットフードとバンパーに、シャープなグラフィックのヘッドライトやグリルを合わせることで、親しみやすさを醸し出しながら、家族を守る頼もしさを表現。
いっぽうリアは、安定感のあるボクシーフォルムとスタンスの良さを強調。被視認性に配慮したリアコンビネーションランプは先代よりも低い位置に配置して室内の広さを強調するなど、どんなシーンにも馴染む懐の深いモダンなデザインとなっています。
エアー EXのホイールは15インチのアルミホイールで、組み合わせるタイヤサイズは185/65R15となっています。
乗る人すべてを笑顔にする明るく快適な室内
インテリアは、家のリビングルームをイメージした柔らかなファブリックや、使い勝手に優れた収納スペースを設置し、すべての乗員に居心地のよい空間としています。
運転席は視覚的ノイズの少ないすっきりとしたデザインのダッシュボードと、フロントタイヤの位置をイメージしやすいピラーまわりによって、狭い道での離合や縦列駐車の際のストレスを低減しています。
室内の装備は、オートエアコンをはじめ運転席&助手席シートヒーター(AIRは未装着)、リアクーラー(エアー EXとクロスターの3列シートモデル)などを標準装備して、すべての席で快適性を向上しています。
Honda CONNECT(ホンダコネクト)も搭載され、ボタンひとつでオペレーターが対応する「緊急サポートセンター」をはじめ、スマホアプリを介してエアコンなどのリモート操作やデジタルキー、車内Wi-Fiなどのサービスが用意される「Honda Total Careプログラム」が使えます。
※別途サービスへの申込みが必要です。
試乗した6人乗り仕様(ガソリン車3列シート)の室内寸法は、室内長2,645mm×室内幅1,470mm×室内高1,280mmというもの。
2列目シートのニースペースを先代よりも30mm拡大するとともに、360mmのスライド量によって、チャイルドシートに座る2列目のお子さんを前席からケアしたり、反対に足元部分を広げて荷物置き場として使うなどのアレンジも可能としました。
いっぽう3列目シートは、乗員の肩まわりを65mm拡大。シート自体は薄型化と軽量化によって、乗り心地を損なうことなく、軽いチカラで跳ね上げ収納を可能としたほか、跳ね上げた際のシート間を約160mm拡大して、荷室の使い勝手をおおきく向上させています。
走りと燃費性能を両立させたガソリンエンジン車
新型フリードのプラットフォームは、先代からのキャリーオーバーですが、マルチシェル骨格をベースに効率的な補強を行うことで、安心・快適な走りを支える高効率ボディを実現しています。
エアー EXに搭載されるパワートレーンは、最高出力87kW(118PS)、最大トルク142Nmを発生する1.5L直列4気筒DOHC i-VTECエンジンと、トルクコンバーター付きCVTの組み合わせです。
エンジンは、滑らかなトルク特性と優れた燃費性能、静粛性を向上しました。
滑りやすい路面での性能をアップして安心感のある走りを実現
ガソリン、ハイブリッドに関わらず4WDモデルに採用されるリアルタイムAWDは、ステアリング舵角やスロットル開度など、各種センサーの情報から車両状況を把握し、前後の駆動力配分を調節することで、雪道での発進やコーナリング、登坂などで優れた走破性を実現するシステム。
先代に対して後輪に配分するトルクを10%高め、また新たに走行状況により適した駆動力配分を行う高応答リニア制御を採用したことで、雪道での走破性と安心感をアップしています。
ロードクリアランスは、2WD車の135mmに対して4WD車は150mmと15mm高く設定。わだちなどでも安心感の高い走行性能を提供します。
全タイプに標準装備される進化したHonda SENSING(ホンダセンシング)は、衝突軽減ブレーキ(CMBS)をはじめとした15個の機能でドライバーをサポート。「後退出庫サポート」「アダプティブドライビングビーム」をオプション設定しています。
十分なトルクの1.5Lエンジン。室内の静粛性も高い
フリード エアー EXで走り出したときの第一印象は、無駄な動きの少ないクルマだなということです。発進時やブレーキをかけた際の前後の揺れ、そしてカーブを曲がる際の横揺れが非常にうまく抑えられています。
これは同乗するお子さんなどにも安心感を提供することができます。またクルマ酔いなどもしにくいといえるのではないでしょうか。
1.5Lエンジンは、発進加速のスムーズさではe:HEVに譲りますが、ストレスを感じるほどではありません。
なによりCVTによく見られる、アクセルペダルを踏んでもエンジン音が大きくなるだけで加速しないというフィーリングもなく、ペダル操作に対してリニアに反応してくれるので運転していて楽しくなります。
制振材や吸音材の最適化により、走行中の車内の会話明瞭度は先代モデルとは比較にならないほど室内の静粛性がアップ。ドライバーと3列目の乗員の会話も大きな声を出さなくても成立するでしょう。
また、試乗したエアー EXにはリアクーラーが装備されており、1列目だけでなく、2列目からもルーフに設置されたコントロールスイッチで操作が可能。シート位置を問わず乗員が快適に過ごせるというのは、ホスピタリティの高さを感じます。
250万円〜という価格にも納得の新型フリードの高い完成度
街なかや狭い道路でも取り回しやすいボディに、質感の高められた走行性能と充実した快適装備、室内の静粛性もアップした新型フリード 。
ライバルのシエンタと比べると、車両本体価格でやや割高感を感じる新型フリードですが、実車に触れて乗ってみれば、価格にも納得のワンランク上のミニバンへと進化していました。