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【プロ解説】「ちょうどいい」に磨きをかけて、使い勝手を高めた新型フリード e:HEV クロスター

ホンダ フリード e:HEV クロスター 2024

「This is サイコーに ちょうどいい Honda!」のキャッチコピーで2008年にデビューしたホンダ フリードが、2024年6月にモデルチェンジを受けて3代目に進化しました。

3代目のポイントは、モデルタイプを標準車のAIR(エアー)と、CROSSTAR(クロスター)の2系統としたこと。

そのなかから2列シート、5人乗りのフリード e:HEV クロスター(2WD)に試乗したので、エアーとの違いを解説しながらインプレッションをお届けしましょう。

Chapter
フルモデルチェンジを行い商品力をアップした新型フリード
標準車のAIRとクロスオーバースタイルのCROSSTARを用意
プラットフォームを熟成して静粛性をアップ!
15+2の機能を持つ進化したHonda SENSING
e:HEV クロスターに試乗!
e:HEV クロスターが1台あれば、日々の買い物から通勤、ドライブやアウトドアレジャーまでこなせる

フルモデルチェンジを行い商品力をアップした新型フリード

ホンダ フリード e:HEV クロスター 2024

国産ミニバンは、ボディの大きさにより、ラージクラス、ミディアムクラスそしてコンパクトクラスにわかれ、それぞれのクラスで各メーカーがしのぎを削っています。

なかでもコンパクトクラスは、トヨタ シエンタとホンダ フリードが市場を独占。

一般社団法人 日本自動車販売協会連合会が発表した2024年7月の新車販売台数ベスト10のうちこの2台が約20%を占めるという人気ぶりです。

そんななか、2024年6月にホンダ フリードがフルモデルチェンジを行い、商品力をアップしてきました。

標準車のAIRとクロスオーバースタイルのCROSSTARを用意

5ナンバーサイズのコンパクトミニバンとして、子育て世代ファミリーを中心に幅広い層から多くの支持を集めているホンダ フリード。

新型となり、5人乗りのフリード+(プラス)が廃止され、標準車のAIR(エアー)とクロスオーバースタイルのCROSSTAR(クロスター)の2つのボディスタイルが用意されました。

室内の乗車定員は、エアーが3列シートの6人または7人乗りクロスターは3列シートの6人乗りと2列シートの5人乗りという構成。

それに福祉車両シリーズとして、スロープ仕様車と助手席リフトアップシート車がラインナップされます。

パワートレーンは、先代同様、1.5L i-VTECガソリンエンジンと、ハイブリッドのe:HEV(イーエイチイーブイ)の2つで、それぞれに2WDと4WDがラインナップされます。

プラットフォームを熟成して静粛性をアップ!

ホンダ フリード  2024

プラットフォームは先代の改良版です。すでに実績を築いているマルチシェル骨格をベースに効率的な補強を行うことで、バリエーション違いによる重量増を最小限に抑えています。

剛性バランスの適正化を行ったフロントは、ねじり剛性10%、接地点横剛性を5%それぞれ向上させ、フロントサスペンションからの入力に対する車両の応答性をアップ。

リアまわりは、ボディ上部の剛性を向上することで、安心感の高い車両挙動と質感の高い乗り心地を実現しています。

さらにサスペンションまわりで発生するフリクションを徹底的に低減し、快適な乗り心地と長距離ドライブでも疲れにくい上質な走りを獲得しています。

ホンダ フリード AIR EX 2024

室内は、加速ノイズとロードノイズの低減により静粛性を向上しました。

加速ノイズは、ハイブリッド(e:HEV)車とガソリンエンジン車でアプローチが異なっており、ハイブリッド車は発電時のエンジン回転数を抑える制御に加えて、エンジンとボディを連結させる3カ所のエンジンマウントすべてを樹脂製としてエンジンからの振動を低減。

ガソリンエンジン車は、ポート噴射の採用にくわえ、キックダウン時のエンジン回転数を抑える変速制御により振動を低減しています

いっぽうロードノイズは、車両全体の静粛性を総合的に追求する「防音パッケージ」という考え方を採用。遮音材や制振材の効率的な配置により、2列目シートでは先代をうわ回る静粛性を獲得しています。

15+2の機能を持つ進化したHonda SENSING

ホンダセンシング  Honda SENSING 衝突軽減ブレーキ(CMBS)

安全性に関しては、ダッシュボードロアの仕様を変更し、衝突時のキャビン変形を抑制。側面衝突に対しても、フロアフレームスティフナーやサイドシルスティフナーの強度アップを行い、優れた生存空間保持性能を獲得。

さらに相手への攻撃性を低減するコンパティビリティ対応ボディや優れた歩行者保護性能が追求されました。

安全運転支援システムの「Honda SENSING(ホンダセンシング)」は、広角単眼カメラを採用して機能を向上。

衝突軽減ブレーキ(CMBS)をはじめとした15の機能に、オプションとして後退車庫サポート、アダプティブドライビングビームを設定してドライバーをサポートします。

e:HEV クロスターに試乗!

ホンダ フリード e:HEV クロスター 2024

試乗したのは、ハイブリッドモデル唯一の2列シート車となるフリード e:HEV クロスター(2WD)車両本体価格は316万2500円(2024年8月時点)です。

標準車となるエアーのボディサイズは、全長4,310mm×全幅1,695mm×全高1,755mmで、先代モデルに対して全長が45mm伸ばされました。

これはハイブリッドユニットが、1モーターのSPORT HYBRID i-DCDから、2モーターのe:HEVになったことに対応するための変更で、室内空間は先代にくらべ、2列目のニースペースで+30mm、3列目の肩回りで+65mmとなり、快適性を高めています。

クロスターのエクステリアは、エアーをベースに力強さを強調したデザインが与えられています。

専用のバンパーにくわえて、ブラックのホイールアーチプロテクター、サイドシルガーニッシュ、高輝度シルバーのフロントグリル、前後ライセンスガーニッシュ、アウタードアハンドル、ドアミラー、アルミルーフレールなどにより、堅牢でモダンな印象を演出しています。

15インチのアルミホイールデザインもクロスター専用で、角丸四角形をモチーフに、ブラックとシルバーのコントラストにより、洗練されたタフさを表現しています。

ちなみにクロスターは、ホイールアーチプロテクターを装着した関係で全幅が1,720mmとなっています。

荷物の多いアウトドアレジャーにも使える広いラゲッジルーム

室内のインテリアは、明るいグレージュを基調としたエアーに対し、クロスターは“アウトドアライクなアクティブスタイル”をテーマに、アウトドア用品と共通イメージの素材を使い、カラーはブラック×カーキとなります。

とはいえ5人乗りクロスターの最大の魅力は、遊びゴコロいっぱいの広大かつフラットなラゲッジルームです。

地上高335mm、高さ1,260mm、最大幅1,080mmというおおきな開口部を持つラゲッジルームは、耐重量200kgのユーティリティボードを使って、上下2段に分割して使うことが可能です。

ユーティリティボードはフェルト面とプラスチック面のリバーシブルで、上に載せるものを選びません。

6:4分割の2列目シートはダブルフォールダウン式で、車中泊に適したおやすみモード、ロングラゲッジモード、ハーフラゲッジモード、自転車(26インチ)を2台積載できるビッグラゲッジモードなど5パターンの使い方ができます。

興味深いのは、壁面のユーティリティサイドパネルや、テールゲート室内側のユーティリティナットといった仕事にも使えるユーティリティパーツが純正装着されていること。

これらを有効活用すれば、積載性を高めることができるのはもちろん、アウトドアレジャーでもさまざまに活躍するでしょう。

静かで乗りやすい特性のe:HEV

ホンダ フリード e:HEV クロスター 2024

フリード e:HEV クロスターで走り出してみると、ロードノイズはもちろん、エンジンが始動した際の車内へのノイズの侵入が抑えられ、静粛性の高さに関心します。

すでにコンパクトカーのフィットやSUVのヴェゼルにも搭載されているe:HEVは、信号待ちなどの発進でもたつくこともなくスムーズに加速します。

パワートレーンのe:HEVは、1.5Lアトキンソンサイクル i-VTECエンジンと、充電・駆動を行う2つのモーターを内蔵したCVTの組み合わせ。

走行は、バッテリーに蓄えられた電力を使って走行用モーターで走行する[EVモード]を基本に、加速時や登坂時など、おおきなパワーを必要とするときは、エンジンによって発電した電力とバッテリーからの電力をあわせて走行用モーターを駆動、またバッテリーの電力が足りないときにはエンジンによって発電された電力を走行用モーターに流す [ハイブリッドモード]、エンジンだけのほうが効率が良い場合はエンジンと駆動輪を直結して走行する[エンジンモード]をそれぞれ賢く使い分けます。

エンジンと走行用モーター、それぞれのスペックは、前者が最高出力78kW(106PS)、最大トルク127Nm、後者は最高出力90kW(123PS)と最大トルク253Nmを発生。

このモーターの特性を活かして強力な加速性能を与えることも可能ですが、新型フリードでは、力強さを感じさせながらも、どんなドライバーでも扱いやすい穏やかでスムーズな特性されています。

乗車人数や荷物の量によって重量の増減が大きいミニバンですが、低速から高出力を発生するモーターを積極的に活用するe:HEVなら、あらゆるシュチエーションでストレスを感じることはなさそうです。

ホンダ フリード e:HEV クロスター 2024

改良が加えられたシャシーは、路面が荒れたところを走行しても、クルマの揺れが抑えられています。

特に感じたのは路面からの衝撃が抑えられていること。かなり荒れた路面を走行したのですが、ドライバーにはそういった感じは伝わってきません。

車高の高いフリードですが、コーナリングやブレーキングの際でも前後方向、左右方向の無駄な揺れが抑えられているので、運転中のドライバーはその他の乗員に気を使う必要もないでしょう。

e:HEV クロスターが1台あれば、日々の買い物から通勤、ドライブやアウトドアレジャーまでこなせる

ホンダ フリード e:HEV クロスター 2024

パワフルな走行用モーターを優先的に使うハイブリッドシステムのe:HEVと、コンパクトで小回りの効くボディ、簡単なシートアレンジと撥水性と防汚性に優れた内装、積載性と利便性を追求した広いラゲッジスペースなど、全方位で進化した新型フリード e:HEV クロスター

日常使いはもちろん、家族や仲の良い友人たちとのキャンプなど、アウトドアライフにもおすすめのコンパクトミニバンとなっています。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として本格的に参画し、2006年に独立。現在は、日本でもっとも多くの広報車両を借り出して取材を行うフリーランスの編集者として活動中。中古車の流通、販売店に精通した「中古車相場師」と呼ばれるいっぽうで、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

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