PHEV最高峰のパワートレーンを搭載。トヨタ センチュリー徹底解説【メカニズム編】
車両価格2500万円という国内メーカー屈指の高級車としても注目されるトヨタ センチュリー。初期トラブルなど、許されるはずもありません。
ましてや忙しいセレブが、クルマの故障で予定に遅れるなどすれば、メーカーの名前にもキズが付くことになりますから、こういった車両では最新のメカニズムを投入しにくいという事情があります。
新しいセンチュリーも多分にもれず、信頼性の高いメカニズムで構成されています。
TNGAプラットフォームを専用に最適化
ボディの基本骨格は、既存のTNGAプラットフォームを新しいボディスタイルにあわせて最適化されました。
具体的には、フロント各部の構造の強化にくわえ、リアフロアクロスメンバーにラゲージルームセパレーターを結合することでボディのねじり剛性を大幅に向上。ボディ骨格には2種類の構造用接着剤を使いボディの変形を抑制して、優れた操縦安定性と不快なシート振動の低減を実現しました。
細かい振動を抑えてなめらかで上質な乗り心地を実現するサスペンションは、フロントにマクファーソンストラット、リアはマルチリンクという組み合わせ。
車速に応じて、後輪の向きを前輪と逆向き(逆相)または同じ向き(同相)に制御するDRSを備え、低速での取り回しと、高速域での安定性を両立しています。
パワートレーンは、レクサス RXに搭載された3,456ccのV型6気筒(2GR-FXS型)エンジンと、前後モーター、51Ahのリチウムイオンバッテリーで構成されるPHEV(プラグインハイブリッドシステム)です。
前後モーターの出力は、フロントが最高出力134kW(182PS)/最大トルク270Nm、リアが最高出力80kW(109PS)/最大トルク169Nmをそれぞれ発生。システム最高出力は303kW(412PS)を発揮しています。
駆動方式は、走行状態に合わせて前後輪トルク配分を100:0〜20:80のあいだで制御する電気式4WDシステム「E-Four Advanced」を、センチュリーに最適化。
満充電時のEV走行距離は最大69kmで、ハイブリッド燃費はWLTCモードで14.2km/Lを達成。市街地の移動のみなら電気だけでまかなうことができます。
バッテリーへの充電は、200V/30Aと200V/16Aの普通充電に対応。前者は約3時間半、後者は約5時間半で充電が完了します。
このバッテリーに関して、現在トヨタではバイポーラと呼ばれる技術を使ったハイパフォーマンス版電池の2027〜2028年の実用化を目指して開発を行っています。
これが実現されれば、コストを抑えながら、約2倍の航続距離が可能になるということなので楽しみですね。
ドライブモードは、一般的なECO/NORMAL/SPORT/CUSTOMにくわえて、後席の快適性を優先するREAR COMFORT(リアコンフォート)モードを用意。
REAR COMFORTモードは、走行中に発生する車線変更時の横揺れや、制動時の揺れ戻し、加速時のピッチング、減速時のノーズダイブなどは、DRS(Dynamic Rear Steering)、AVS(Adaptive Variable Suspension system )、駆動力配分、ブレーキ制御を統合制御することによって低減します。
安全装備は、プリクラッシュセーフティ、レーントレーシングアシスト[LTA]、レーンディパーチャーアラート[LDA]、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)、アダプティブハイビーム[AHS]、ロードサインアシスト[RSA]、ドライバー異常時対応システム、プロアクティブドライビングアシスト[PDA]、発進遅れ告知機能[TMN]、緊急時操舵支援(アクティブ操舵機能付)、フロントクロストラフィックアラート[FCTA]、レーンチェンジアシスト[LCA]が含まれるToyota Safty Senseを基本に、ブラインドスポットモニター[BSM]、安心降車アシスト[SEA]、後方車両接近告知、周辺車両接近時サポート、後方車両への接近警報、セカンダリーコリジョンブレーキ、プラスサポート(急アクセル時加速抑制)などが搭載されます。
また駐車支援[アドバンストパーク]、渋滞時支援[アドバンストドライブ]を搭載するのトヨタチームメイト、パーキングブレーキサポート、パノラミックビューモニターで運転支援を行います。
顧客の細かいオーダーに応えるGRMNも登場
日本的なきめのこまかいおもてなしの心で設計された新しいセンチュリー。
同時に発表された「センチュリー GEMN」は、エアロパーツに専用ホイール、赤いGRブレーキキャリパーを装備したスペシャルモデルですが、もっとも特別な装備はスライド式とされたリアドア。
アイシン精機が2020年に発表した新リンク式パワードア(LPD)技術を使ったもので、ボディにガイドレールを持たないことが特徴です。
さらに会場では、オープンボディもチラ見せするなど、そういった特別仕様の要望にも答える予定ということです。さて肝心の車両価格はどれぐらいになるのでしょうか?
まあ、いずれにしても庶民には手の届かない高級車なわけですが、欧米のショーファードリブンに肩を並べるモデルが登場したことは、喜ばしいニュースなのではないでしょうか。