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軽自動車とコンパクトカーの維持費。どっちがお得?

ホンダ N-BOX 2020

現在、国内で販売される新車の約4割近くが軽自動車となっているそうです。

その人気の理由は「優れた経済性」と「使いやすさ」というもので、日々の通勤や買い物などのアシとして購入する人が多くなっています。

そのため中古車では比較的高値で販売されており、コンパクトカーと中古価格が逆転することもしばしば。となると本当に経済的なのはどちらになるのか?気になりますよね。

Chapter
軽自動車とコンパクトカーを、トールワゴンで比較
税金まわりは圧倒的に軽自動車がお得
自賠責保険料はわずかの差
任意保険料はルーミーが安い
燃料代もわずかの差
車検は車両の程度次第。ともに10万円が目安
メンテナンス費用はディーラーのメンテナンスパックなどで節約できる

軽自動車とコンパクトカーを、トールワゴンで比較

ホンダ N-BOX

2022年にもっとも売れた軽自動車はホンダ N-BOXの20万4734台で、2位がダイハツ タントの12万3198台、3位はスズキ スペーシアの11万697台。

いっぽうで2022年の普通乗用車の販売台数ランキングでは、トヨタ ヤリスが16万8557台で第1位、以下トヨタ カローラ、日産 ノート、トヨタ ルーミー、トヨタ ライズ、トヨタ アクアといった小排気量エンジンを搭載したコンパクトカーが続いています。

このように国内の新車販売の大半を占める軽自動車とコンパクトカーですが、どちらが賢い買い物なのか、維持費をメインに年間のコストがどれくらい変わるのかを調べてみました。

トヨタ ルーミー カスタム

比較の俎上に載せるのは、軽自動車がホンダ N-BOXカスタム L(2WD)と、コンパクトカーはハイトワゴンのトヨタ ルーミーカスタムG(2WD)です。

新車の車両本体価格はN-BOXカスタムL(2WD)が、182万4900円、ルーミーカスタムG(2WD)が192万4000円。

中古車平均価格は、N-BOXカスタムが131万9000円、カスタムを含むルーミーは143万1000円と、新車価格の差がそのまま中古車にも反映されています。

それぞれの維持費を見て行きましょう。

税金まわりは圧倒的に軽自動車がお得

自動車税 税金 お金 

自動車税/環境性能割

4月1日時点の自動車所有者に納付義務が発生するのが自動車税(種別割)です。

軽自動車税(種別割)は年間1万800円ですが、N-BOXカスタムL( 2WD)は高い環境性能を実現しているため、新車購入時の軽自動車税、環境性能割は非課税となります。

いっぽう排気量1.0LのルーミーカスタムG(2WD)の自動車税はエコカー減税が適用され1万6600円。新車購入時に課税される環境性能割は2%の税率で3万1400円です。

両車ともにエコカー減税が適用されるものの、コンパクトカーのルーミーは4万8000円も高くなっています。

重量税

軽自動車のN-BOXカスタムLの重量税は一律で3年7500円です。ただしエコカー減税が適用されて3700円になります。

いっぽうのルーミーは、車両重量に応じて税率が変わり、1.0~1.5トン以下で2万2500円ですが、こちらもエコカー減税が適用されて1万6800円になります。

新車購入時に支払う自動車重量税は1万3100円の差となります。

自賠責保険料はわずかの差

新車の自動車を購入する際、自賠責保険は必ず37カ月加入するよう義務づけられています。

2023年4月に保険料が改定された保険料は、軽自動車が37カ月で2万4010円乗用車は37ヶ月で2万4190円と、その差は180円とわずかです。

任意保険料はルーミーが安い

トヨタ ルーミー

N-BOXカスタムとルーミーカスタムの任意保険料を以下の条件で見積もりをとってみました。

運転者の年齢:53歳
年齢制限:30歳以上
運転免許証の色:ゴールド以外
使用目的:家庭用
年間走行距離:9000km以下
保険証券:発行しない

まずN-BOXカスタムL(2WD)ですが、最低限の補償内容プラン(対人・対物は無制限、人身障害は車内のみ補償型で1名につき3,000万円)で年間約3万5760円でした。

これを補償範囲の広い一般型の車両保険を付けると7万8360円。補償範囲を絞ったエコノミー型にすると5万8800円となりました。

いっぽうルーミーカスタムG (2WD)は、最低限の補償内容プランで年間約3万1800円

補償範囲の広い一般型の車両保険を付けると7万4760円で、補償範囲を絞ったエコノミー型にすると5万2320円。

いずれもルーミーのほうが若干安くなります。

燃料代もわずかの差

ホンダ N-BOX 特別仕様車

ひと月の走行距離を500km、年間6000kmの走行距離で、N-BOXカスタムLとルーミーカスタムGの燃料代を比較してみます。

使用燃料は、どちらもレギュラーガソリンで、リッターあたり163円(2023年6月の全国平均)で計算します。

N-BOXカスタムL 2WDの燃費性能はWLTCモードで21.2m/Lです。実走行に近い燃費モードなので、8割目安とすると1リッターあたり約17kmを走行できます。

ルーミーカスタムGの燃費性能はWLTCモードで18.4m/Lで、8割目安とすると約14.7km/Lとなり、その差は約2.3km/Lです。

それぞれの燃費で燃料代を計算すると、年間6000kmの走行だとN-BOXカスタムL が約353Lのガソリンが必要となり、燃料代は年間5万7539円、1カ月あたり4,795円。

対するルーミーカスタムGは、約408Lのガソリンが必要となり、年間6万6504円、1カ月あたり5,542円となっています。

ここではわかりやすく500km/月で試算をしましたが2台の差は約750円/月。走行距離が短くなれば当然ながら差額は少なくなります。

車検は車両の程度次第。ともに10万円が目安

中古車 整備

N-BOXのディーラーでの車検費用をネットで検索したところ、基本料金(24カ月点検整備費用、継続検査料、代行手数料)が4万4,660円。

法定費用(自賠責保険料、重量税、手数料・印紙代)が2万5,940円で合計7万600円でした。

ルーミーのディーラーでの車検費用は、基本料金(24カ月点検整備費用、継続検査料、代行手数料)が3万7840円。

法定費用(自賠責保険料、重量税、手数料・印紙代)が4万3,850円で合計8万1,690円となり、N-BOXと約1万1000円差となりました。

いずれもオイルやワイパーといった消耗品を交換することを考えて、10万円ほど用意しておいたほうが良いでしょう。

メンテナンス費用はディーラーのメンテナンスパックなどで節約できる

愛車をつねに快適に乗るためには、メンテナンスが必要となります。メンテナンス費用でポピュラーなオイル交換費用は、N-BOXがオイル量2.4Lでオイル交換費用は工賃込みで3,800円。オイルフィルターの交換まで含めると約5,800円です。

対するルーミーのオイル交換費用は約4,000円で、オイルフィルターの交換をオイル交換と一緒に行うと約6,300円です。

エンジンに使用するオイル量が多いので、排気量の大きなルーミーのほうが高くなります。

N-BOX、ルーミーともに定期点検とユーザーの好みで選べるメンテナンスメニューがお得なパックになったメンテナンスパックが用意されていますので、加入するとメンテナンスや車検費用が割安になります。

ホンダ N-BOX 2020

エンジンとボディサイズに制限のある軽自動車と、1.0Lエンジンを搭載したコンパクトカーは、燃料代や保険代、メンテナンス費用といった面では似たようなものですが、税制で大きく異なります

ただし乗車定員4名の軽自動車に対して、コンパクトカーは5名、さらに広い室内や荷室、わずか340cc程度ながら高速巡航などで差がつくエンジントルクなど、リッターカーにはそれなりのメリットがあります。

また中古車の場合は、車種によっては平均価格が軽自動車よりも安く、前述した差額を相殺してしまうこともありますので、軽自動車とコンパクトカーで迷ったら予算と自分の使い方に合わせてじっくり選ぶ必要がありそうです。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として本格的に参画し、2006年に独立。現在は、日本でもっとも多くの広報車両を借り出して取材を行うフリーランスの編集者として活動中。中古車の流通、販売店に精通した「中古車相場師」と呼ばれるいっぽうで、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

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