【プロ解説】価格以上に進化したヴェゼルのマイナーチェンジモデル
2021年2月にワールドプレミアを行い、同年4月から販売を開始した2代目ホンダ ヴェゼル。
人気の高かった先代の各要素を継承しながら、着実な進化を遂げた2代目ヴェゼルが、発売から3年という短いスパンでマイナーチェンジを行いました。
ここでは、2024年4月にマイナーチェンジを受けたヴェゼルの試乗レポートをお届けします。
- Chapter
- フロントまわりのデザイン変更でシャープさを増したエクステリア
- 大幅な変更こそ少ないが全体的に見直すことで性能がアップしている
- ハンドリングもパワートレインも向上した現行ヴェゼル
- 価格差以上に期待できるマイナーチェンジモデル
フロントまわりのデザイン変更でシャープさを増したエクステリア
フリード、ステップワゴンともにホンダの販売を支える2代目ヴェゼルが、新車発売から3年という短いスパンでマイナーチェンジを実施。
グランドコンセプトを「AMP UP YOUR LIFE」から「EXPAND YOUR LIFE」へと変更して、各部のバージョンアップを図ってきました。
エクステリアは、フロントグリル、フロントバンパーの形状を変更。それにともない全長は、従来モデルより10mm長い4,340mmとなりました。
またリアコンビンーションランプをオールLED化するとともに、2段グラフィックに変更して水平基調のキャラクターラインを際立たせています。
インテリアは、センターコンソールを左右対称デザインに変更。ダッシュボード、ルーフ、フロアの各遮音材と防音材の厚みや配置を最適化して、エンジン始動音やロードノイズを低減させ、室内の静粛性をアップしています。
大幅な変更こそ少ないが全体的に見直すことで性能がアップしている
パワートレインのe:HEVは、エネルギーマネジメント制御を見直すことで、エンジンの始動回数、停止頻度を大幅に低減すると同時にアクセルレスポンスを向上。
さらに、e:HEVの2WD車はダンパー減衰力を見直すことで、従来モデルよりフラットで無駄な動きの少ない快適な乗り心地を追求しています。
全タイプに標準装備となる安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダセンシング)」は、従来の衝突軽減ブレーキ(CMBS、路外逸脱抑制機能、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)、車線維持支援システム(LKAS)などの機能向上にくわえ、トラフィックジャムアシスト[渋滞運転支援機能]、急アクセル抑制機能、アダプティブドライビングビームを追加して、性能向上を図っています。
グレード体系は、1.5Lガソリンエンジン車(AWDのみ)に「G」、ハイブリッド車は「e:HEV X」「e:HEV Z」の2つ。マイナーチェンジ前に設定されていた「e:HEV PLaY」が、新たにZグレードのパッケージになったほか、Xグレードにはアウトドアを意識した「HuNTパッケージ」が設定されました。
ハンドリングもパワートレインも向上した現行ヴェゼル
今回、試乗したのは、最上級グレードにあたる「e:HEV Z(車両本体価格319万8800円)」の2WDモデルです。
実車は、プレミアムサンライトホワイトパール(6万500円)塗装をはじめ、ホンダコネクトディスプレイ+ETC2.0車載器+ワイヤレス充電器、マルチビューカメラシステム+プレミアムオーディオ(34万7600円)、フロアマットカーペットプレミアム(4万5100円)、ドライブレコーダー3カメラセット(6万7100円)といったオプションを追加し、合計371万9100円という仕様になっています。
早速、走り出してみると、マイナーチェンジでエネルギーマネジメント制御やサスペンションダンパーの減衰力の見直しなどが施された結果、EV走行の領域が増え、ハンドリング性が一段と向上した印象です。
箱根のキツイ下り坂でも、自分のラインを思い通りにトレースすることができます。クルマのピッチングやロールも抑えてられて、運転しやすいだけでなく、すべての乗員に安心感を提供します。エネルギーマネジメントの見直しは、燃費性能にも影響を与える重要なポイントです。
高速道路で使えるアダプティブクルーズコントロールは、先行車との距離が縮まった際の減速や、その後の再加速などがより自然になり、上手なドライバーの操作に近づいています。
とはいえ、もっとも大きな変化は室内の静粛性向上です。タイヤのロードノイズなどの車内への侵入が抑えられており、会話の明瞭度が相当なレベルで向上しています。
2代目ヴェゼルはマイナーチェンジ前のモデルでも及第点以上の静粛性を実現していましたが、今回のマイナーチェンジによってその実力が高まっています。
価格差以上に期待できるマイナーチェンジモデル
2代目ヴェゼルが登場した直後は、コロナや半導体不足などから新車の納期遅延が問題になっていましたが、現在は、ガソリン車、e:HEVともに納期は1〜3カ月と、ほぼ解消されました。
マイナーチェンジによって車両本体価格は上昇しましたが、その上昇ぶん以上に各性能が向上しているのは間違いありません。