【ライター解説】ホンダ・N-ONEを解説!モデルチェンジ後の変化と注目のMTの実力は【動画あり】
ホンダの軽自動車「Nシリーズ」。そんなNシリーズのなかで、もっとも背が低いパッケージングなのが「N-ONE」です。
YouTubeチャンネル「車選びドットコムYouTube」では、そんなN-ONEの魅力に迫りました。
しかも車両はスポーツグレード「RS」で、トランスミッションは注目のMT(マニュアル・トランスミッション)。その実力と、知られざる魅力をチェックします。
▼N-ONEの紹介動画はこちらをチェック!
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見た目はほぼ同じだけど、中身はすべて進化
「これってフルモデルチェンジなの?」
2020年11月に2代目へバトンタッチしたホンダ「N-ONE(エヌワン)」の新型を見てそう感じた人も少なくないことでしょう。その理由は、見た目が初代からほとんど変わっていないからにほかなりません。
しかしながら、正真正銘のフルモデルチェンジです。見た目はほとんど変わっていませんが、プラットフォームもエンジンも刷新。つまり中身は全面的に新しくなっています。
また先進安全システムも、衝突被害軽減ブレーキの精度を大幅に高めるなど最新世代へと大幅にアップデートされましたね。
N-ONEは、ホンダの「Nシリーズ」のなかでもっとも背の低いセダンタイプのモデルです。
Nシリーズにはもっとも背が高くて室内が広いと同時に、もっとも販売台数の多いスーパーハイトワゴンの「N-BOX(エヌボックス)」を筆頭に、商用モデルの「N-VAN(エヌバン)」、ハイトワゴンの「N-WGN」などをラインナップ。
そのなかでN-ONEは、もっともパーソナル性の高いキャラクターと言えるでしょう。
Nシリーズの他のモデルが後席に人(N-VANでは荷物)を載せることを重視しているのに対し、N-ONEは運転席と助手席を中心に考え、そのぶんキビキビした軽快な走りに振ったパッケージングなのです。
ミニバンなど背の高いクルマは入庫できない、全高1550mm制限の機械式立体駐車場にも入庫可能です。
そんなN-ONEの特徴はなんといってもキュートなスタイル。
これはホンダ黎明期の人気モデルで「Nコロ」という愛称でも親しまれた「N360」をモチーフにしたもの。丸いヘッドライトをはじめ、どことなくレトロな雰囲気があるのはそのためです。
デザインが変わらないのはどうして?
新型の外観を見て、多くの人は初代モデルとすぐに見分けがつかないかもしれません。それもそのはず。見た目がほとんど変わっていないのです。
スチールで作られる外板パネル自体は従来モデルと同じで、違いはバンパーやライト内部のユニットなど細部のみ。いっぽうで冒頭に書いたように、プラットフォームをはじめメカニズムは刷新されています。
こんなフルモデルチェンジは日本では、いや世界を見回しても珍しいパターンですね。
どうしてこんな手法のフルモデルチェンジをおこなったのでしょうか。コストを削減するため? そうではありません(実際に開発コストは大きく抑えられているわけではない)。実は、N-ONEらしさを保つためなのです。
N-ONEを選ぶ多くの人は、このデザインを気に入って買っています。そんなクルマの場合、モデルチェンジでデザインを変えるのが非常に難しいところ。中途半端に変えると「こんなのN-ONEらしくない」とファンから怒られてしまうからです。
分かりやすい例が「ミニ」。
ミニはフルモデルチェンジしてもデザインの変化が少なく、新型と旧型の区別がつきにくいですよね。それは開発側がミニらしさを失わないために狙ってやっていることで、N-ONEも同じなのです。
気になるMTの操作性は?
いっぽうで、室内に乗り込むとインパネは全面変更。
そしてクルマ好きにとって新型の大きな話題といえば、初代には用意されなかったMTの登場ですが、シフトレバーの位置は一般的なセンターコンソールではなくインパネ中央部。いわゆるインパネシフトです。
「この位置にあるシフトレバーは動かしにくいのではないのか?」
そんな疑問を感じる人もいることでしょうが、その点については元レーシングドライバーの土屋圭市さんも動画の中で「動かしやすい」と高評価。
手が自然に届く場所で操作性にまったく違和感がないし、ハンドルから近い位置にあるので、ハンドルからシフトレバーへ持ち替えやすいレイアウトなのです。
ラリー車など本格的な競技車両では、操作性を求めてハンドルの脇にシフトレバーの先端を配置することがあります。それと同じ操作性と考えれば納得です。
助手席に座った相沢菜々子さんは「助手席の足元が広い」と感想を伝えていますが、実はそこにもしっかり理由がありました。
ダッシュボードは助手席側下部の張り出しを抑える設計とすることで、足元スペースを広げているのです。そういった配慮の積み重ねが、N-ONEの快適性に繋がっているのでした。
いっぽう後席はどうでしょうか。
「広いよ。これで十分!」と土屋圭市さん。どのくらいかといえば、ひざ回りスペースは相沢菜々子さんの長い足だって組めるほどです。
たしかに、N-BOXなど背の高いモデルに比べると頭上空間はゆとりが少なく、パッケージングの違いにより前後席間距離も短い。……しかし、それは「比べれば」という前提の下での話であって、単独で判断すればN-ONEも十分なスペースがあり、大人2人が快適に過ごせる後席空間です。
ちなみに背もたれは、左右独立でリクライニング調整可能ですよ。
日常生活には十分な荷室の広さ
一般的に、昨今の軽自動車は居住性を重視したパッケージングで作られています。その影響で荷室がそれほど広くないのは新型N-ONEでも同じこと。
しかし、車選びドットコムYouTubeの動画でおなじみの「90Lスーツケースチャレンジ」でも、無事にスーツケースを収めることができたのを見ればわかるよう、最低限のスペースは確保されています。
印象的なのは床が低いこと。前後長は短めですが、床の低さでフォローしている印象です。
しかもその下には、洗車道具を積める床下収納スペースがあるのだから凄いですね。
また、後席格納は背もたれを前へ倒すだけのワンタッチ操作でフラットな床が作れる手軽さで、その際の床が低いのも驚き。これはセンタータンクなレイアウトを採用したホンダ車ならではと言えます。
さて、今回の動画で試乗したグレードは「RS」。もちろん注目のMT車です。
従来はなかったMTが新型に用意された最大の背景は、プラットフォームの違い。
先代のプラットフォームはMTのギヤボックスを積める設計にはなっていませんでした。しかし新しいNシリーズ用のプラットフォームは、N-VANでMTを搭載することを決めたので、MTが積めるように設計されているのです。
気になるシフトフィールは、適度なカッチリ感があって好印象。気持ちよくシフトチェンジできます。それはギヤボックス自体がスポーツカーの「S660」用に作られたものと聞けば納得ですね。
走り全体のフィーリングはどうか。キーワードは「しっかり感」といっていいでしょう。
「運転していて軽自動車らしい感覚がない」と土屋圭市さんは言います。
その背景にあるのは、ホンダの「軽自動車だからという妥協は捨てて、普通車のように高いレベルの走りを目指した」というこだわり。そこにこだわっているから走行安定性が高く、軽自動車の次元を超えた“しっかり感”のある運転感覚となっているのです。