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900万円のアルファードがレクサス LMになると1500万円もするのはなぜ?その理由と魅力を徹底検証!

レクサス LM500h

レクサス LMは、トヨタのアルファード/ヴェルファイアをベースにしたレクサスブランドのミニバンです。

誤解を恐れずに言ってしまえば、LMの中身はアルファード/ヴェルファイアなのです。

ところが、新車の価格差は600万円以上と、ちょっとした高級セダンも買えちゃう金額です。この差は、どんなところから生まれているのでしょうか?

Chapter
アルファードをベースしながら贅のかぎりを尽くしたレクサス製ミニバン
ショーファードリブンとしての理想的サイズで作れられたLM
LMは共通のプラットフォームに入念なチューニングを行った
素材だけでなくデザインにもこだわり静粛性を大幅アップ
圧倒的なパワーとダイレクト感をもたらす2.4LターボHEVエンジン
2列目の乗員を第一に考えたLMの安全性
価格差以上の性能差を感じるLMの完成度

アルファードをベースしながら贅のかぎりを尽くしたレクサス製ミニバン

レクサス LM500h バージョンL 6人乗り

2️023年10月に日本市場に導入されたレクサス LMは、多用化するユーザーに向けてレクサスが送り込んだ新たなフラッグシップモデルです。

初代LMは、2020年に中国やアジア地域におけるショーファードリブンMPV需要に応えるため販売が開始されました。

ベースは旧型(30系)トヨタ アルファードで、待望論はあったものの導入されることのなかった日本ではアルファードにLMのパーツを移植したLM仕様が専門ショップから販売されるほど注目を集めていました。

レクサス LM 500h

それから3年後の2023年10月、LMは新型となりまず車両本体価格2000万円という4人乗り仕様のフラッグシップモデル“EXECUTIVE”を発売。翌2024年5月には、車両本体価格を1500万円に抑えた6人乗り仕様の“version L”が追加されました。

LMの基本骨格は、2023年にモデルチェンジを行った新型(40系)アルファード/ヴェルファイアと共通ですが、車両本体価格はアルファードが540万円〜872万円、ヴェルファイアは655万円〜892万円。LMとは600万円以上の差があります。

このギャップは、おもに車両に使われている素材やパーツ、各部の意匠やチューニングから生まれています。

以下では、アルファード/ヴェルファイアの最上級グレードであるハイブリッドのExecutive Lounge(E-Four)とLM500hを比較しながら、LMが1500万円の価格で販売される理由を深堀りしましょう。

ショーファードリブンとしての理想的サイズで作れられたLM

まずボディサイズですが、レクサス LMが全長5,125mm×全幅1,890mm×全高1,955mm。対してアルファードは、全長4,995mm×全幅1,850mm×全高1,935mm(ヴェルファイアは全高1,945mm)と、LMがひと回りおおきくなっています。

これはアルファードが、一般ユーザーに配慮して機械式駐車場の制限サイズに合わせたためで、ショーファードリブンでありその縛りがないLMは、設計者の考える理想的サイズとなっていることが原因です。

LMは共通のプラットフォームに入念なチューニングを行った

レクサス LM

共通のGA-Kプラットフォームは、スライドドアの採用によって開口面積が広く剛性確保が難しいとされるボディ骨格を強化するため、リア床下ブレースをともに採用。フロントのラジエーター横のブレースは、ヴェルファイアとLMにはありますがアルファードは未装着です。

さらにLMでは骨格の接合に、レーザースクリューウェルディング、短ピッチ打点技術、構造用接着剤を適材適所に使用。高剛性接着剤を使用することにより、接合剛性を高めつつ、フロアの着座位置に近い部分は高減衰接着剤に置き換えることで、振動レベルを低減しています。

また主要骨格部材には、ハイテン材やホットスタンプ材、スライドドアにはアルミニウムを採用。ボディ外板も含めて約30kgの軽量化により、重量を増やすことなく、従来型比で約1.5倍のボディねじり剛性を確保することで、操縦安定性と乗り心地の向上。さらにNV性能(ノイズ/バイブレーション)の低減にも貢献しています。

フロントのマクファーソンストラット式、リアのトレーリングアーム式ダブルウィッシュボーン式のサスペンション形式、周波数感応型のショックアブソーバーは共通(アルファードはExecutive Loungeのみ)。

LMは、さらにアルミ鍛造キャリアの採用や、フロントサスペンションのロアアームにハイテン材を採用することで走りの質感を向上させるなど、見えないところに数々のチューニングが施されています。

これは、いまやグループ企業となった世界中のメーカーが採用しているやり方で、価格設定が高くても売れるブランドの車両には、よりコストを掛けて同じ基本骨格であっても高い性能を実現してブランド価値を引き上げています。

素材だけでなくデザインにもこだわり静粛性を大幅アップ

トヨタ アルファード(40系)エグゼクティブラウンジ ハイブリッド

アルファードのエクステリアは、ドアミラーの配置やフロントピラー形状の適正化、徹底したボディシール、専用タイヤなどによって走行中のノイズを低減しました。

レクサス LM500h バージョンL 6人乗り

いっぽうLMは、後方への空気の流れを適正化させることを目指してさまざまな工夫が施されています。

高速走行時などに発生する風切り音の抑制には、フロントピラーの最適化にくわえカウルサイド整流板を採用。

さらにフロントバンパーコーナー、ルーフ、Dピラースポイラー、リアコンビネーションランプの造形を最適化することでCd値の低減と直進安定性を向上。サイドロッカー下端の、整流フィン、ボディパネルと面一化したベルトモールは、操縦安定性と乗り心地の向上に寄与しています。

標準装着のホイール&タイヤサイズは、19×7J と225/55R19で同じですが、タイヤの銘柄は、アルファードはブリヂストン TURANZA T005、ヨコハマ ADVAN V03、トーヨー PROXES Comfortのいずれかを装着するのに対し、LMは静粛性や乗り心地にくわえて、車外で聞こえるタイヤノイズにも配慮したミシュランのプライマシーSUV+を装着。

さらに高度な静粛性を求めるユーザーには、17インチのノイズリダクションアルミホイール(タイヤサイズ225/65R17)も用意されるといったこだわりです。

圧倒的なパワーとダイレクト感をもたらす2.4LターボHEVエンジン

パワートレーンは、アルファード Executive Lounge(E-Four)が2.5L直列4気筒DOHCエンジンに前後モーターを組み合わせたシリーズパラレル式のハイブリッドシステム(THSⅡ)

エンジン、モーターの出力は、2.5Lエンジンが最高出力140kW(190PS)/最大トルク236Nm、フロントモーターは最高出力134kWm(182PS)/最大トルク270Nm、リアモーターは最高出力40kWm(54PS)/最大トルク121Nmをそれぞれ発生、システム出力は184kW(250PS)。トランスミッションには電気式無断変速機を使い、燃費性能はWLTCモードで16.5km/L(※2WDは17.7km/L)を実現しています。

レクサス LMに搭載されるパワートレーンは、2.4L直列4気筒インタークーラー付きターボエンジンにフロントモーターと高出力リアモーターeAxleを組み合わせたパラレル式ハイブリッドシステムです。

ジャーナル軸受部をオールアルミ製のラダーフレームにすることで軽量化と高剛性を実現した2.4LターボHEVの出力は、エンジンが最高出力202kW(275PS)/最大トルク460Nm、フロントモーターは最高出力64kW(87PS)/最大トルク292Nm、リアモーターは最高出力76kW(103PS)/最大トルク169Nmという組み合わせで、システム出力は273kW(371PS)。

トランスミッションに駆動用モーターとインバータを一体化したDirect Shift-6ATを用い、WLTCモード燃費は13.8km/Lとなっています。

駆動方式は両車ともにAWDですが、アルファードは路面状況を検知し、必要に応じて後輪へトルクを配分することで、滑りやすい路面での安心感や乾いた路面でのスムーズな発進や旋回時の操縦安定性を向上させるシステムで、リアモーターはサポート的な役割となるE-Fourです。

いっぽうLMは、車輪速センサーをはじめ、加速度センサー、舵角センサーなどの情報をもとに前後輪の駆動力配分をフロント100:リア0からフロント20:リア80の間で制御し、つねに最適な駆動状態をキープすることで、発進加速性、操縦安定性の向上を実現するDIRECT4と異なっています。

2列目の乗員を第一に考えたLMの安全性

室内は、運転席の8wayパワーシート、助手席の4wayパワーシート、オットマン付きリアパワーシート、余裕のあるサードシートという構成は同様

シート表皮は、アルファードがプレミアムナッパ本革、内装は専用色のブラックまたはニュートラルベーシュを設定。

LMは、フロントおよびサードシートにセミアニリン本革、セカンドシートはL-ANILINE(エルアニリン)本革と使い分け、内装はブラックまたはソリスホワイトが選べます。

エアコンは、アルファードが前後左右独立温度コントロールのフルオートエアコンなのも対し、LMは同じ前後左右独立温度コントロールフルオートエアコンですが、エアコンの設定温度、外気温、室内温度に応じてシートヒーターやシートベンチレーター・ステアリングヒーターを自動で制御するレクサスクライメイトコンシェルジュを装備して、快適な環境を実現します。

インテリアの加飾は、アルファードが屋久杉のうずら杢をモチーフに羽が大きく流れるように変化する木目のUZURAMOKU、LMは日本古来より縁起の良い文様とされる「矢羽根」をモダン柄にアレンジしたヘリンボーン柄杢で再現。4層の立体印刷技術によって繊細かつ精緻な美しさで室内を飾ります。

オーディオは、アルファードには15スピーカーのJBLプレミアムサウンドシステム、LMは21スピーカーの“マークレビンソン”リファレンス3Dサラウンドサウンドシステムと、ここでもLMが一段上の装備となっています。

安全装備は、アルファードが、Toyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)、LMはLexus Safety System+(レクサスセーブティシステムプラス)です。

Toyota Safety Senseは、歩行者・自転車運転者(昼夜)、自動二輪車(昼)検知機能付プリクラッシュセーフティをはじめ、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)、ドライバー異常時対応システムなど9つの機能をパッケージング。さらに、ブラインドスポットモニター(BSM)+安心降車アシスト+後方車両接近告知+周辺車両接近時サポートプラス後方車両への接近警報+セカンダリーコリジョンブレーキを搭載。

Lexus Safety System+は、プリクラッシュセーフティをはじめ11の機能をパッケージング。ヴェルファイアに設定のないドライバーモニター連携やフロントクロストラフィックアラート機能を採用。高度運転支援技術のToyota Teammate(トヨタチームメイト)は、ともに標準装備となっています。

価格差以上の性能差を感じるLMの完成度

レクサス LM500h

車両本体価格は、トヨタ アルファード Executive Lounge(E-Four)の872万円に対し、レクサス LM は1500万円。2台のあいだにある600万円以上の差額は、高級車を購入するいう層といえども決して無視できる金額ではないはず。

しかし細部にまでこだわり、見えない部分でも贅のかぎりを尽くしたレクサス LMは、その価格差の以上の性能を獲得していることも事実。

さらに実際に乗り比べた際の質感の高さを考えると、この価格差はむしろ安いものと言えるかもしれません。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として本格的に参画し、2006年に独立。現在は、日本でもっとも多くの広報車両を借り出して取材を行うフリーランスの編集者として活動中。中古車の流通、販売店に精通した「中古車相場師」と呼ばれるいっぽうで、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

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