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【プロ解説】電子デバイスの効果大。『クラウン スポーツ』はスポーツできるSUVだった

トヨタ クラウン スポーツ Z

クラウン スポーツは、俊敏でスポーティな走りが楽しめる新しいカタチのスポーツSUVとして登場しました。

電気式4WDのE-Fourを採用する足まわりには、専用セッティングのサスペンションをはじめ、DRS、VDIM、ACA制御といった最新の電子デバイスが満載されています。

その走り味はどんなものでしょうか?自動車ジャーナリストによるインプレッションをお届けします。

Chapter
クラウン スポーツ用に各部を最適化
運転席の乗り降り、視界は良好
名前に見合ったスポーティな乗り味

クラウン スポーツ用に各部を最適化

トヨタ クラウン スポーツ Z

今回試乗したクラウン スポーツは、車両本体価格590万円のハイブリッド車のSPORT Zです。

パワートレーンは、システム最高出力172kW(234ps)を発生する2.5L直列4気筒エンジン+モーターにバイポーラ型ニッケル水素バッテリーを組み合わせるシリーズパラレルハイブリッドシステム

トランスミッションはCVTで、駆動方式はE-Fourと呼ばれる電気式4WD。燃費性能は、WLTCモードで21.3km/Lを実現しています。

ボディサイズの、全長4,720mm×全幅1,880mm×全高1,565mm、ホイールベース2,770mmは、同じプラットフォームを採用しているクラウン クロスオーバーと比較すると、全長−210mm、全幅+40mm、全高+25mm、ホイールベースは−80mm。フロント&リアのオーバーハングも短くなり、コンパクトな印象です。

フロントがマクファーソンストラット式、リアにマルチリンク式というクラウン スポーツのサスペンションは、接地感を高めしなやかな姿勢変化を実現するため、減衰力にこだわってセッティングされました。

クロスオーバーにも採用されるDRS(ダイナミックリアステアリング)は、スポーツの名前に相応しい走行性能を実現させるために、クラウン スポーツに最適化。

プラットフォームには、高い走行性能を追求し、高出力なリアモーターの駆動力を受け止めるための剛性アップと、上質な乗り心地を実現するフル防振サブフレームを採用しています。

運転席の乗り降り、視界は良好

トヨタ クラウン スポーツ Z

室内は21インチタイヤの採用により高められたヒップポイントによって、クロスオーバーよりも乗り降りしやすくなっています。

どんな体格の人でも的確なドライビングポジションを取ることができる8ウェイパワーシートの運転席は、除電機能付き表皮を一部に使いタイヤまわりの帯電を低減することで、安定した車両挙動と疲れにくいドライビングに効果を発揮します。

SUVとして見ればアイポイントは低めですが、水平基調のインストルメントパネルデザインにより視界は広く、適度に包まれ感のある運転席は集中力が高まります。

名前に見合ったスポーティな乗り味

トヨタ クラウン スポーツ Z

走り出してみると、21インチという大径タイヤを装着し、独自にセッティングされたサスペンションを採用したクラウン スポーツの乗り心地は、街乗りではやや硬めに感じます。

段差を乗り越えたときなどの収束は早いのですが、衝撃は大きめ。スポーツという名前にピッタリと言えばその通りですが、600万円という車両価格を考えるとやや物足りなさを感じました。

しかし速度域の高い高速道路に入ると、それまでの印象はガラリと変わり、直進安定性は輸入車に匹敵するレベル、レーンチェンジではリアの遅れもまったくなく、俊敏な動きを見せてくれます。

圧巻だったのは、ワインディングでの走りです。

全幅1,880mmもある大柄なクラウン スポーツですが、タイトなコーナーの続くシーンでも軽快な身のこなしで走り抜けることができます。

ドライバーのステアリング操作に対して、非常にリニアで思い通りのライントレースが可能です。

これは電気式4WDのE-FourとDRS、VDIM、ACA制御といった電子デバイスの効果によるところが大きく、cm単位のコントロールも簡単にできてしまうのには驚きました。

街乗りでは硬めに感じた乗り心地もワインディングではクルマのロールも抑えられ、路面からの情報もしっかりと伝わってくるのでクルマと対話しながらドライブすることができます。

この軽快な身のこなしは、普通のSUVとは一線を画していると言って良いでしょう。

トヨタ クラウン スポーツ Z

クラウン スポーツの思い通りにライントレースできる高いハンドリング性能は、スポーツカーそのものと言っても良いかもしれません。

興味のある方は、ディーラーなどの試乗で確かめてみることをおすすめします。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として本格的に参画し、2006年に独立。現在は、日本でもっとも多くの広報車両を借り出して取材を行うフリーランスの編集者として活動中。中古車の流通、販売店に精通した「中古車相場師」と呼ばれるいっぽうで、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

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