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ディーゼル車の燃料タンクにAdBlueを入れてしまった!どうしたらいい?

ルノー カングー

メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン、ルノー カングーなど、多くのディーゼル車に採用されている尿素SCRシステム

これは、純水に高純度の工業用尿素を溶かした高品位尿素水ことAdBlue(アドブルー)を使ってディーゼルエンジンの排出ガスをクリーンにする装置で、AdBlueは走れば走っただけ消費するので定期的な補充が必要です。

もしも間違って、燃料タンクにAdBlueを入れてしまったら…どのように対処すれば良いのでしょうか?実際の事例をもとに解説します。

Chapter
気づいたときは後の祭り…
混ぜるなキケン!無駄な出費を防ぐためにできること
フォルクスワーゲン パサート ヴァリアント

ディーゼルエンジンの排出ガスのなかで有害とされる窒素酸化物(NOx)を削減するため、日産ディーゼルによって開発された技術尿素SCRシステムです。

尿素SCRは、ディーゼルエンジンの有害な排出ガスである窒素酸化物にAdBlue(アドブルー)と呼ばれる尿素水を噴射することにより、窒素酸化物を水と窒素に分離して排気ガスをクリーンにする技術です

車両にはAdBlue用のタンクが装備され、このAdBlueは燃料ほどではないものの走行距離に応じて減ってゆき、ほとんどの車種では、タンク内のAdBlueが一定量を下回るとエンジンが掛からなくなります。

減ったAdBlueの補充は専用の注入口から行いますが、車種によっては今回のフランス製ミニバンのように、フューエルリッドカバーの下に燃料の給油口と並んで配置されていたりします。

そこで起こるのが、給油口に間違って添加してしまうことです。実際にやってしまった体験談を聞くことができました。

AdBlue 燃料 

ディーゼルエンジン搭載のフランス製ミニバンを仕事で使っているAさんは、普段から自分でできることは自分でヤルというDIY派。AdBlueは業務用サイズの20Lの箱入りを通販で購入して自分で注入しています。

ただし注入口が入れにくい形状なのと、給油口と並んでいることから、万がいち間違えないよう一人で作業しないことを独自のレギュレーションとしていました。

Aさんの乗るフランス製ミニバンのAdBlue消費量は、1,000km毎に約1.0L。AdBlueのタンク容量は約17Lで、で、残り数リッターになると燃料同様、警告灯が点灯して補充を促します。

そのまま走ってAdBlueがカラになると、エンジンが始動できないようプログラムされていますから、警告灯が付いたタイミングで補充することがベターです。

20L入りを購入したAさんような場合、警告灯が点灯して補充したときに5リッター前後が余る計算です。この余った数リッターが、のちのちトラブルのを引き起こします。

気づいたときは後の祭り…

ルノー カングー

ちなみにAdBlueには保存する際の有効期限があります。仕事でクルマを使っているAさんは、その有効期限内に使い切ってしまいますが、箱入りでガレージに転がっているのはあまり気持ち良いものではありません。

ある日、用事のため愛車で出かける準備をしていたAさんの目に、先日の補充で余ったAdBlueの箱が目に入りました。

室内にあると意外と邪魔な20Lサイズの箱を処分するため、独自に決めたレギュレーションを破って一人でAdBlueを補充しました。

補充後は、キーをイグニッションONのポジションにして10秒ほど放置してAdBlueの残量がリセットされたらエンジンを始動。そのまま何ごともなく、目的地に向かうはずでした。

ところが、ガレージから数百メートルも離れていない場所で、エンジンがガクガクブルブル、謎の振動を最後に止まってしまいました。

アクセルを踏んでもプスんとも動かなくなったフランス製ミニバンは、一方通行の細い路地でアイドルストップが働き、セルモーターがむなしく回り続けていたそうです。

細い路地の道を塞ぐように止まったので、交通の邪魔にならないよう一人でフランス製ミニバンを押していたところ、後ろから来た心優しい若者が近くのコインパーキングまで手を貸してくれました。

コインパーキングに駐車した動かない愛車。落ち着いてトラブルの原因を考えてみると、出発前にAdBlueを燃料側に注入したことに思いいたったそうです。

ことの重大さに青くなったAさんは、その場でレッカーサービス呼んで愛車をディーラーに送りました。

混ぜるなキケン!無駄な出費を防ぐためにできること

ディーラーに入庫したミニバンは、まずAdBlueが混ざってしまった燃料をタンクからすべて抜いて、新しい燃料に入れ替えたところ、エンジンの再始動に成功しました。

ところが、燃料フィルターのエラー表示は点滅したままで、車載コンピュータを調べると綺麗な軽油ではないというエラーコードまで残っていたそうです。

AdBlueは7割が水なので、燃料タンクをふくむ燃料系がきれいになれば解決できるのでは?と考えていたのですが、燃料系に残ったAdBlueの結晶が、悪さをしてチェックランプを点灯させたのではないかというのがディーラーの見解です。

燃料タンクにAdBlueを入れるトラブルは入庫したディーラーでも初めてのことで、どこまでメンテナンスをすれば良いのか、手探り状態だったそうですが、結局、2度の燃料フィルター交換だけという、比較的簡単な作業で解決したことは不幸中の幸いというべきでしょう。

それでも部品代を含めて5万円程度の出費でしたが…。

これが重症の場合は、燃料ラインの洗浄、タンク清掃などもするそうなのでかなりの高額になることを覚悟しなければならないそうです。つまらないミスが結構な出費になってしまっていますので、注意しましょう。

今回は、軽油に水が混ざったのと同じ状況だったようですが、すぐにエンジンが止まったこと、AdBlueを燃料タンクに注入したことに気づいて、その後エンジンを再始動しなかったことがキズを浅くできた要因ではないかとのことでした。

メルセデス・ベンツ GLB

ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも複雑な燃料噴射ポンプやインジェクターを使用しているので、それらを壊してしまうと大変な出費になってしまいます。

うっかりでは済まされない請求書が来るので、AdBlueの注入はくれぐれも慎重に行いたいもの。自信の持てない方は、ガソリンスタンドやディーラーに依頼しましょう。

ちなみにマツダのクーリンディーゼルのSKYACTIV-Dは、尿素SCRシステムを使わずに排気ガスをクリーンにしていますので、AdBlueの補充は必要ありません。

車選びドットコムマガジン編集部

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