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自動運転自動車の普及が本格化してくるが。。事故した場合、誰に責任があるの?

日産 セレナ

先日、日産自動車から、高速道路での自動運転を実現したセレナが発表されました。

日産自動車は2020年には高速道路だけではなく、交差点もふくめた自動運転自動車の市販化を目指しているということですが、ホンダやボルボ、アウディといった会社も自動運転技術の開発を進めています。

そして自動車メーカーだけではなく、IT業界の巨人であるアップル、そしてグーグルも開発をすすめていると言われています。

自動車の歴史の中では、2010年代後半から2020年代は自動運転の時代になりそうですが、このように技術が急激に進展すると、法律や制度がおいつかないという問題が出てきます。

自動運転自動車が事故を起こした場合、事故についての責任はだれが持つのか?という問題です。

この問題に強く関心を持っているのが、自動車事故が起きたら保険金を支払うことになる保険業界です。自動運転のクルマが走る時代になっても、自動車事故はなくならないだろうと予測されており、保険会社としては、事故の責任はだれが取るのかということに関心を持たざるを得ません。

もしも、運転手に責任がないということになったら、自動車保険に加入する人はいなくなりますからね。

この問題について、積極的に責任を認めるスタンスなのがボルボです。同社は自動運転モードの同社のクルマに何かあった場合、同社が責任を負うと述べています。

しかし、このようなコミットをする会社は現在のところ極めてまれです。

※ 2016年07月28日時点

Chapter
事故の責任が誰にあるのかよくわからない自動運転自動車
起きてしまった自動運転自動車の死亡事故
自動運転自動車の事故に関する責任について日本の検討状況
日産 セレナ

事故の責任が誰にあるのかよくわからない自動運転自動車

つきつめて考えていくと、自動運転をしていたクルマが事故を起こした場合、誰に責任があるのかよくわからないということになります。

自動運転モードにして、運転をクルマに任せっぱなしにしていた人は、そのクルマを作った会社に責任がある。と主張するでしょう。

自動運転の自動車のメーカーは、自動運転システムの部品を納入していた部品メーカーに責任を転嫁するかもしれません。

部品メーカーはさらにその下請けの部品メーカーに。。。

となっていくと、いったい誰が事故の責任を持てるというのでしょうか?保険会社が困惑するのも無理がありません。

保険会社にもまだそのような事例はないということですが、そのような事故が出てくるのも時間の問題と業界では考えられています。

自動車メーカーは、そのような事故が起こらないように非常に長い期間をかけて、事故が起きる可能性は限りなく低いという状態にしてから市場に出すという方針です。ボルボは自動運転について何十年も研究し、事故を起こす確率はほとんどないという確信があるからこそ、何かあったら責任をとる。と表明できるとのことです。

起きてしまった自動運転自動車の死亡事故

このように、自動運転による事故があった場合に責任は誰がとるのか?ということが、世界的にもはっきりしていない状況の中で、自動運転自動車による死亡事故が発生してしまいました。

2016年5月に、アメリカの電気自動車メーカー、テスラモーターズのセダン「モデルS」で自動運転モード作動中に死亡事故が起きました。

テスラモーターズの事故に関するアメリカの報道

テスラモーターズの自動運転モードでは、前の車の自動追従、自動レーン変更など運転支援により初歩的な自動運転が可能なのですが、この事故では、高速道路の分岐地点でモデルSはトレーラーの下に潜り込む形で衝突しました。光が非常にまぶしい状態で車両のシステムも運転者もトレーラーを認識できず、ブレーキをかけた形跡がなかったとのことです。

テスラモーターズは運転の責任は基本的に運転者側にあると明言しており、運転者が常にハンドルを握り、いつでも自動運転から手動に切り替えられるようしておくよう求めています。自動運転モードの作動中にはその点を画面上でも運転者に周知しているとのことです。

ボルボとテスラモーターズでは見解がことなり、自動車業界内でも統一見解がないことがはっきりしています。

そしてこの事故がきっかけとなったのか、テスラモーターズと、自動運転の仕組みにかかせない画像分析システムをテスラに供給していた企業との間に対立が生じたのか、提携関係を解消したというニュースも発表されました。

この画像分析システムの会社はモービルアイというイスラエルの会社で、日産自動車やフォルクスワーゲンといった会社にも技術を提供している会社です。日産などの自動運転自動車にも影響がないのか、気になるところですね。

自動運転自動車の事故に関する責任について日本の検討状況

高速道路での自動運転を実現した自動車、日産の新型セレナがこれから発売される日本でもこの問題は他人事ではありません。

日本ではこの問題について、法律や制度ができているのでしょうか。整備されていなかったとしても、統一見解のようなものはあるのでしょうか。

日本においても法律や制度の整備はこれからですが、損害保険の業界団体の日本損害保険協会が、自動運転の法的課題や、事故発生時の損害賠償責任についての考え方を整理した報告書を発表しています。

この報告書では、自動運転のレベルを1から4まで定義し、レベル3までは、損害賠償責任について、現行の民法、自賠法を適用できるとしています。そして完全自動では損害賠償責任について検討する必要がある。と指摘しています。

自動運転のレベルとは次のとおりです。

レベル1 加速・操舵・制動のいずれかの操作をシステムが行う。
レベル2 加速・操舵・制動のうち複数の操作を一度にシステムが行う。
レベル3 加速・操舵・制動をすべてシステムが行い、システムが要請したときのみドライバーが対応する。
レベル4 加速・操舵・制動をすべてシステムが行い、ドライバーが全く関与しない。(完全自動運転)

という状況ですので、やっと国民の間で議論がはじまった。という状況ではないでしょうか。国会や政府内で検討されているという報道は、この記事を書いている時点では確認できませんでした。

自動車に限らず、近年は技術進展のスピードが非常に早く、制度がおいついていないという問題がたびたび生じていますが、自動運転自動車についても同じことが言えるようです。

日本のみならず、世界的にも自動運転技術がどのように発達していくのか、そしてそれに対する制度の整備状況についても関心を持ってみていく必要がありそうですね。

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