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【プロ解説】同じ価格帯になったランクル250とランクル300。おすすめはどんな人?

トヨタ ランドクルーザー250 ZX

2023年8月に世界に向けて公開されたトヨタ ランドクルーザー“250”は、ライトデューティー系ランクルとして人気のあったランドクルーザー プラドの後継モデルです。

今回のモデルチェンジにより、これまで上位に位置していたランドクルーザー”300”とプラットフォームを共用するようになったランドクルーザー“250”にはどんな魅力が盛り込まれているのでしょうか?

”250”シリーズの特徴を見ながら、“300”シリーズとの違いを解説します。

Chapter
新しいランドクルーザーは3車系
大きくなったライトデューティー系ランドクルーザー”250”シリーズ
ステーションワゴン系ランドクルーザー”300”シリーズ
ラグジュアリー性なら300、実用性なら250シリーズがおすすめ

新しいランドクルーザーは3車系

トヨタ ランドクルーザー 300、250、70

2024年現在、国内のトヨタ ランドクルーザーは、2021年8月に登場した高級・豪華なステーションワゴン系のフラッグシップとなるランドクルーザー“300”

2023年11月再々導入されることになったランドクルーザー普遍の剛健堅牢を追求したヘヴィーデューティー系のランドクルーザー“70”

そして2024年4月に販売を開始した高い悪路走破性をベースに扱いやすさを付与し、多くのユーザーの生活を支える役割と使命を担うライトデューティー系のランドクルーザー“250”という、3つのシリーズで構成されています。

そのうち、今回のモデルチェンジで共通のプラットフォームになった“250”シリーズと“300”シリーズを比較してみましょう。

大きくなったライトデューティー系ランドクルーザー”250”シリーズ

ランドクルーザー250のエクステリアは、歴代ランクルが培ってきたキャビンバックワードプロポーションに、現代的デザインが融合した機能美が特徴です。

オフロード走行時の破損リスクを考慮して高くやや中央に寄せたランプ配置や、コーナー部のみ交換可能な分割式バンパー、岩などとの干渉を避けるため削り取られたサイドドアパネルやフロント/リアバンパー下部、オフロードでも路面が見下ろしやすいように一段低くクランクさせた水平基調のベルトラインなど、すべては機能を追求したものです。

ラダーフレームをベースにとしたGA-Fプラットフォームに、ハイマウント式ダブルウィッシュボーン(フロント)とトレーリングリンク車軸式(リヤ)という足まわりの構成は “300”シリーズと同様です。

ボディサイズは、全長4,925mm×全幅1,980mm×全高1,940~1,980mmとなっています。

インテリアは、悪路でも車両姿勢を掴みやすい水平基調でデザインされています。

高さを抑えたインストルメントパネルが、乗員への圧迫感を軽減。スイッチ類は集中配置を実現しながら形状と操作方法を機能ごとに変えて、オフロードなど苛酷な環境下においても、より運転に集中しやすいレイアウトとされました。

ランドクルーザー初となる電動パワーステアリング(EPS)は、オフロードでのキックバック低減に加えて、路面状況を問わない扱いやすさを実現しています。

直列4気筒エンジンは軽さを優先した結果?

トヨタ ランドクルーザー250 ZX

パワートレインは、最高出力150kW(204PS)、最大トルク500Nmをそれぞれ発生する2.8L 直列4気筒ディーゼルターボエンジン+8速ATをメインに、中間グレードのVXにのみ最高出力120kW(163PS)、最大トルク246Nmを発生する2.7L直列4気筒ガソリンエンジン+6速ATを用意。

駆動方式は、全車センターデフにトルセンLSDを採用するフルタイム4WDです。

トヨタ ランドクルーザー 250

走行性能を向上させるデバイスとして、電動パワーステアリングに加えて、スイッチ操作でフロントスタビライザーのロック/フリーを切り替えることができるSDM(スタビライザー・ウィズ・ディスコネクション・メカニズム)を搭載します。

駆動力、ブレーキの制御をそれぞれ最適化して走行支援を行うマルチテレインセレクトは、6つのモードでオフロード走行時の走破性をアップ。

マルチレテインセレクト作動中は、車両周囲の状況を確認できるをマルチレテインモニターが作動します。

安全装備は、機能向上した最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)」を全車に標準装備。さらに高度運転支援技術「トヨタチームメイト」の機能のひとつであるアドバンストドライブ(渋滞時支援)を設定するなど充実しています。

ステーションワゴン系ランドクルーザー”300”シリーズ

ここからは、ランドクルーザー“250”シリーズとランドクルーザー“300”シリーズを比較します。

プラットフォームは同じGA-Fを採用する2台ですが、ボディサイズは“250”シリーズの全長4,925mm×全幅1,980mm×全高1,940~1,980mmに対し、“300”シリーズは全長4,965~4,985mm×全幅1,980~1,990mm×全高1,925mmという数値。

全長は“300”シリーズが全長で40〜60mm長くなっていますが、全高は反対に“250”シリーズのほうが15〜55mm高くなります。

ホイールベースはいずれも2,850mmで、取り回しの良さの目安となる最小回転半径は“250”シリーズが6.0m、“300”シリーズは5.9mとほぼ互角です。

エクステリアのキャビンバックワードプロポーションは、ランドクルーザー共通。

”300”シリーズでは、ラジエーターグリルをヘッドランプとともに高い位置に配置し、前後バンパーの下部も障害物をいなすような造形としたことで、押し出しの強い存在感のあるフロントマスクになっています。

インテリアの水平基調デザインや、使い勝手の良いスイッチ類、フロントおよびセカンドシートに快適温熱シート+ベンチレーションを用意(セカンドシートは上位グレードのみ)するのは“250”シリーズと同様です。

ただし、全体の質感や高級感という点では、ラグジュアリー志向の”300”シリーズに分がある印象で、スーツやジャケット、女性のワンピースでも違和感のない意匠です。

反対に、濡れたマウンテンパーカーや枯れ葉のついたフリースなどは、躊躇するかもしれませんので、そういった志向のかたは”250”シリーズをおすすめします。

エンジンはコンパクトで静粛性に優れるV型6気筒をチョイス

トヨタ ランドクルーザー 300

搭載するパワートレインは、2.8L直列4気筒のディーゼルターボ2.7L直列4気筒ガソリンというラインナップの“250”シリーズに対して、“300”シリーズは、3.3Lディーゼルツインターボと3.5LガソリンツインターボともにV型6気筒として、車両全体の質感を高めています。

またスペックも、3.3Lディーゼルツインターボが最高出力227kW(309PS)、最大トルク700Nm、3.5Lガソリンツインターボは最高出力305kW(415PS)、最大トルク650Nmと、“250”シリーズをうわ回っています。

センターデフにトルセンLSDを採用するフルタイム4WDの駆動方式は同じ。トランスミッションは、ディーゼル、ガソリンともに10速AT(Direct Shift-10AT)として、高速走行の燃費向上と、発進加速、オフロード性能をアップしました。

燃費性能(WLTCモード)は、“250”シリーズの2.8Lディーゼルターボが11.0km/L、2.7Lガソリンが7.5km/Lで、“300”シリーズは3.3L ディーゼルターボが9.7km/L、3.5Lガソリンツインターボは7.9km/Lとなり、もっとも燃費性能に優れているのは“250”シリーズの2.8Lディーゼルターボとなっています。

ステアリングは、油圧式のパワーステアリングに電動式の操舵アクチュエーターを組み合わせたもの(AX、GXを除く全車に標準装備)で、低速時の優れた取り回しや悪路走行時のショック低減、ドライバーの操舵力軽減などに貢献します。

トヨタ ランドクルーザー 300

安全装備は最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を採用。盗難対策としてスタートスイッチに指紋認証を採用するなどセキュリティ性を高めています。

”250”シリーズに採用された「トヨタチームメイト」は、2025年モデルで搭載されるとのウワサがあります。

ラグジュアリー性なら300、実用性なら250シリーズがおすすめ

トヨタ ランドクルーザー250 ZX

車両本体価格はランドクルーザー“250”シリーズの520万~735万円に対して、“300”シリーズは510万~800万円という設定で、ほぼ同じ価格帯になりました。

これにより新しいランドクルーザーは、それぞれの個性を鮮明にするとともに、以前のランクル200とプラドのあいだにあった上下関係をなくしました。

購入前には、ラグジュアリー指向の“300”シリーズと、実用性重視の“250”シリーズ違いを理解してシリーズを決めるのが良いでしょう。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として本格的に参画し、2006年に独立。現在は、日本でもっとも多くの広報車両を借り出して取材を行うフリーランスの編集者として活動中。中古車の流通、販売店に精通した「中古車相場師」と呼ばれるいっぽうで、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

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