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超高級ミニバンといえばこれまでメルセデス Vクラス一択だった市場にレクサス LMが殴り込み!?

メルセデス・ベンツ V220d エクスクルーシブ Long プラチナスイート 2023

2023年10月、ついに日本でも販売されることになったレクサスのショーファードリブンMPVがLM』です。

トヨタ アルファード/ヴェルファイアをベースとしながら、徹底的なチューニングによって生まれ変わったミニバンの後席は、最上級の移動空間が約束されています。

そんなLMに対抗するのは、世界的なブランドのメルセデス・ベンツが製造・販売するVクラスです。日独最上級ミニバン対決は、どちらに軍配?

Chapter
ショーファードリブンの覇権は誰の手に?
アル/ヴェルの上をゆく快適性と居住性のレクサス LM
7人乗りの広い室内とディーゼルエンジンによる低燃費が魅力のVクラス
車両本体価格1000万円をかるく超える日独ミニバン
燃費性能はFRのメルセデス Vクラスが上
走りは互角、後席の居住性はLMが上
アップデートで進化したVクラスと最新の安全装備のLM
ショーファーカーか、ファミリーカーか、ユーザーの使い方で異なるおすすめ

ショーファードリブンの覇権は誰の手に?

レクサス LM バージョンL

日本ではファミリーカーとして市場を拡大してきたミニバンですが、2015年に「大空間高級サルーン」をキーワードに開発された3代目のアルファード/ヴェルファイアが登場すると、それまでセダンがスタンダードだったお抱え運転手付きの車(ショーファードリブン)が、徐々にアルファード/ヴェルファイアに取って変わられるようになりました。

いまでは夜の銀座でも、メルセデス・ベンツのSクラスやレクサス LSなどのフルサイズセダンにまじってアルファード/ヴェルファイアが幅を利かせています。

そんな環境に新しく投入された新時代のショーファードリブンMPVが『レクサス LMです。

4座のEXECUTIVE(エグゼクティブ)が2000万円、6座のversion L(バージョンL)でも1500万円と、いずれも1000万円を超える価格で、ほかに日本国内で1千万円を超えるミニバンといえば、メルセデス・ベンツのVクラスのみです。

そんな高級ミニバン(MPV)2台を比較してみましょう。

アル/ヴェルの上をゆく快適性と居住性のレクサス LM

2023年に登場したレクサス LMのパワートレーンは、2.4L直列4気筒ターボハイブリッドシステムに電気モーターの eAxleを組み合わせるAWDです。

安全運転支援システムの「Lexus Safety System+」は、運転状況に応じて適切な操作サポートを行うプロアクティブドライビングアシストや、 ドライバーモニターとの連携して、安全なドライブをサポートします。

バージョンLの室内は、2列目にキャプテンシート、3列目にも独立したシートを装備する6人乗りで、2列目シートには脱着可能なタッチ式コントローラータイプのリヤマルチオペレーションパネルを採用し、リヤクライメイトコンシェルジュ/シート/オーディオ/照明など後席の各種機能を操作することができます。

7人乗りの広い室内とディーゼルエンジンによる低燃費が魅力のVクラス

いっぽう2015年に日本での販売が開始されたメルセデス・ベンツの3代目Vクラスのパワートレーンは、2022年2月の一部改良前までが2.2Lの直列4気筒ディーゼルターボ+7速ATで、2022年2月以降は2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボエンジン+9速ATへとダウンサイズされています。駆動方式は2WDのFRのみです。

その他の変更は、2019年のマイナーチェンジでフロントマスクを刷新と、アクティブブレーキアシストやアダプティブハイビームアシスト・プラスを追加。

2020年に安全運転支援システム「レーダーセーフティパッケージ」と対話型インフォテインメントシステム「MBUX」の標準装備。2021年に「レーダーセーフティパッケージ」に機能を追加。そして2024年10月には、大幅なフェイスリフトを行いました。

室内は2列目にオットマンを装備したキャプテンシートを配置する7人乗りで、左右両側電動スライドドア、リアエンターテインメントシステムを装備して快適性と上質感を追求するとともに、安全性や高い走行性能など、全方位でメルセデス・ベンツのMPVに恥じない仕上がりとなっています。

Vクラスの特徴のひとつとして、2列目、3列目ともシートをユーザー自身が取り外すことを可能としており、ラゲッジ容量は、LMの110〜1,599Lに対し、V220d ロングは1,030〜5,000Lという数値を実現するなど、ショーファードリブンだけでなく、趣味の道具を満載して目的地へ向かったり、車中泊をしたりなど、幅広い使い方を可能にしています。

車両本体価格1000万円をかるく超える日独ミニバン

今回、俎上に載せるのは、車両本体価格1500万円の6人乗りのレクサス LM500h バージョンLと、1325万円(2023年モデル)のメルセデス・ベンツ V220d エクスクルーシブ ロング プラチナムスイートです。

ボディサイズは、レクサス LMが全長5,125mm×全幅1,890mm×全高1,955mm、ホイールベースは3,000mmで、車両重量は2,440kg

対してメルセデス・ベンツ V220d エクスクルーシブ ロングは、全長5,150mm×全幅1,930mm×全幅1,930mmに、ホイールベース3,200mmで、車両重量は2,540kgです。

ボディサイズはほぼ同じですが、ホイールベースはV220d ロングが200mmも長く、車両重量も100kg重くなっています。

燃費性能はFRのメルセデス Vクラスが上

搭載するパワートレーンは、レクサス LMが最高出力302kw(275PS)、最大トルク460Nmを発生する2.4L直列4気筒ガソリンターボエンジンと、最高出力64kW(87PS)に、最大トルク292Nmのフロントモーターと最高出力75.9kW(103PS)、最大トルク169Nmを発生するリアモーター(eAxle)を組み合わせ、システム最高出力は273kW(371PS)を発生。

トヨタのTHS Ⅱとは異なり、トランスミッションに6速ATを採用、同時にAWDシステムのDIRECT4を組み込んだハイブリッドシステムの燃費(WLCモード)は、13.5km/Lです。

対するメルセデス・ベンツ V220dは、最高出力120kW(163PS)、最大トルク380Nmを発生する2.0L直列4気筒ディーゼルターボエンジン+9速ATというパワートレーンで、駆動方式はFRのみ。燃費(WLTCモード)は14.3km/Lと、車重が重いV220d ロングがLMをうわ回っています。

走りは互角、後席の居住性はLMが上

フロントにマクファーソンストラット式、リアはダブルウィッシュボーン式というレクサス LMのサスペンションシステムは、アルミ鍛造キャリアの採用や、フロントサスペンションのロアアームにハイテン材を採用することで、バネ下重量を軽減。さらにダンパーには、路面や走行状態に応じて、瞬時に減衰力の切り替えが可能な、リニアソレノイド式アクチュエーターと周波数感応バルブを併用した「周波数感応バルブ付きAVS」を採用して、走りの質を向上させています。

対してメルセデス・ベンツ V220dは、フロントがマクファーソンストラット式、リアはセミトレーリングアーム付き独立懸架式のサスペンションに、コイルスプリングと可変ダンパーを組み合わせる「アイジリティコントロールサスペンション」を搭載

さらに走行状況に応じてダンパーの減衰力を調整するセレクティブダンピングシステムを採用し、通常走行時には油圧抵抗を減少させて快適な乗り心地を、ハードなコーナリング時など急激な入力に対しては最大限の減衰力を発揮して高い走行安定性を実現します。

実際にステアリングを握り運転してみると、レクサス LMは静粛性やスムーズな加速性能、さらに2列目以降の乗り心地など、高級車そのもの

いっぽうのメルセデス・ベンツ V220d ロングは、スムーズな加速性能や走行安定性は相当なレベルに達しているものの、静粛性そして2列目シート以降の乗り心地はレクサス LMに比べるとやや見劣りする印象です。

アップデートで進化したVクラスと最新の安全装備のLM

レクサス LM500h バージョンL 6人乗り

安全装備は、2023年に登場したばかりのレクサス LMは、運転状況に応じて、適切な操作サポートを行うプロアクティブドライビングアシストやドライバーモニターとの連携によるドライバーの運転状況に応じた最適制御を行う「Lexus Safety System+」をはじめ、高度運転支援技術「レクサスチームメイト」のアドバンストドライブ(渋滞支援)とアドバンスドパーク(リモート機能付)を採用するなど国産車でトップレベルの運転支援機能を採用するなど最先端の運転支援システムを採用。

初登場以来、何度かのアップデートを行っているメルセデス・ベンツ Vクラスの運転支援機能は、レーダーセーフティパッケージに、高速道路での追従走行が可能なアクティブディスタンスアシスト・ディストロニック、レーンキープアシスト、パーキングパッケージ(360°カメラシステム付)、パークトロニックなどを搭載しています。

ショーファーカーか、ファミリーカーか、ユーザーの使い方で異なるおすすめ

メルセデス・ベンツ V220d エクスクルーシブ Long プラチナスイート 2023

メルセデス・ベンツのブランド力は偉大ですが、ことショーファードリブンMPVとして比較した場合には、全体の質感の高さでレクサス LMがリードしています。

また販売開始年度がVクラスは2015年、LMは2023年と8年の差がありますので仕方がないことはありますが、リセールバリューを含めて考えた場合、魅力が高いのはレクサスLMと言えるでしょう。

いっぽう、室内の広さや2列目以降のシートが取り外せる(外したシートの置き場所に困るかも…)ユーティリティの高さなど、ファミリーや趣味で使うことを考えると、Vクラスも捨てがたい魅力を持っています。

レクサス LMとメルセデス・ベンツ Vクラスは、最終的には購入後のクルマの使い方で決めるのが良いでしょう。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として本格的に参画し、2006年に独立。現在は、日本でもっとも多くの広報車両を借り出して取材を行うフリーランスの編集者として活動中。中古車の流通、販売店に精通した「中古車相場師」と呼ばれるいっぽうで、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

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