車の自賠責保険ってどんな保険?保険料・補償範囲・仕組みについて

自動車保険

自動車保険の自賠責保険は、すべての自動車および原動機付自転車の所有者に加入が義務づけられている損害保険です。しかし「補償範囲や仕組みなどが今ひとつよく分からない…」という人も多いのではないでしょうか。自賠責保険の補償範囲や仕組みについて理解しておくと、任意保険を選ぶ際に役立ちます。今回は自賠責保険の保険料や補償範囲、仕組みについてわかりやすく解説しますのでぜひ参考にしてみてください。

Chapter
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の基礎知識
自賠責保険の保険料は?
自賠責保険の補償範囲は?
自賠責保険に加入していないと・・・

自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の基礎知識

自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法という法律により、原則すべての自動車および原動機付自転車の所有者に加入が義務づけられている損害保険です。保険会社による違いはありませんので、詳しく確認せず加入している人もいらっしゃるのではないでしょうか。最低でも自賠責保険の保険料と補償範囲についてはおさえておきましょう。

自賠責保険の保険料は?

自賠責保険の保険料は、損害保険料率算出機構が算出した自動車損害賠償責任保険基準料に基づいて設定されています。自動車損害賠償責任保険基準料は、事故発生率保険金支払額などが毎年検証され必要があれば改定されます。

保険料について保険会社による違いはありませんが、車種などによる保険料の区分はありますので、契約者によって保険料が異なります。このようなリスクに応じた料率区分は任意保険でも用いられています。

自賠責保険の料率は用途や車種、地域によって区分されます。用途は自家用・事業用など、車種は乗用車・軽自動車・小型二輪自動車など、地域は北海道・本州・四国・九州・沖縄・離島などで分けられます。参考までに沖縄県や離島以外の地域における保険料(基準料率)の一部を紹介します。

<保険料(基準料率)の例>

※2020年4月1日以降の契約で適用される。
※基準料率は損害保険料率算出機構などが算出する保険料率、保険料率は自動車1台あたりの保険料をさす。
※出典:損害保険料率算出機構「自賠責保険基準料率表」
上記の表から契約期間が長いほど保険料は割安となることがわかります。なお沖縄県や離島は上記の保険料よりも割安で、契約期間により2分の1から4分の1程度となります。詳細は損害保険料率算出機構「自賠責保険基準料率表」でご確認ください。

自賠責保険の補償範囲は?

自賠責保険は、交通事故の被害者のみを対象としています。たとえば自動車を運転していて交通事故を起こしてしまった場合、被害者がケガをしたら120万円、死亡した場合は3,000万円、後遺症が残った場合は後遺障害の等級に応じて75万~4,000万円まで補償されます。自分がケガをした場合や、自分や相手の財物(自動車や建物など)を壊してしまった場合は、補償されません

<自賠責保険 支払限度額>

また自賠責保険では「被害者が他人ではない」場合や「加害者に責任がない」場合など保険金支払いの対象外となることがあります。

[1] 被害者が他人ではない

自賠責保険では被害者が「他人」でなければ保険金は支払われません。他人とは運転供用者(自動車の所有者)や運転者以外をさすため、配偶者や子どもも他人になることがあります。たとえば夫が運転している自動車(夫の名義)により妻や子がケガを負った場合、妻や子は運転供用者や運転者に該当しないため補償を受けることができます。

[2] 加害者に責任がない

自賠責保険では被害者の過失割合が100%の場合も保険金は支払われません。たとえば居眠り運転で相手の車に衝突しケガをした場合、相手の自賠責保険から保険金は支払われません。これを無責事故といい、居眠り運転による衝突事故のほか、信号無視による衝突事故やスピードの出し過ぎによるセンターラインオーバーの衝突事故などがあります。

ちなみに被害者の過失割合が7割未満であれば保険金の減額はありませんが、7割以上となると過失割合に応じた減額があります。

※参考:国土交通省「自動車総合安全情報」
    日本損害保険協会「損害保険Q&A」

自賠責保険に加入していないと・・・

自賠責保険に加入していなければ車検が通らず、自動車を運転することはできません。また自賠責保険に未加入もしくは期限切れの状態で運転した場合、50万円以下の罰金か1年以下の懲役が科せられ、違反点数6点が付加されます。なお自賠責保険は保険証の携帯も義務づけられており、違反した場合は30万円以下の罰金となります。期限切れだけでなく保険証明書の不携帯にも注意しておくことが大切です。

自賠責保険に加入せずに事故を起こした場合、任意保険では自賠責保険で支払われる金額を超えた分しか支払われないため、本来支払われる自賠責保険の保険金分は自己負担になります。
自賠責保険の仕組みや補償範囲をよく理解していれば、加入しておいたほうが良い任意保険もわかってくるでしょう。自賠責保険は最低限の補償を受けられる保険と考え、自分や対物に関する自動車保険は任意で加入しておくことが大切です。


藤 孝憲|とう たかのり

日本FP協会所属のファイナンシャルプランナー。企業に属さない中立公正なファイナンシャルプランナーとして、2006年に独立。保険商品や住宅ローンなどの金融商品の選び方を中心に情報発信しています。保険分野については、約30社の生損保商品を販売していた元保険募集人としての経験や情報を生かした執筆をしております。保険商品は難しいかもしれませんが、複数の商品を比較して初めてそれぞれの商品の特徴が浮かび上がります。記事を通して、商品選びの参考になれば幸いです。

【保有資格】
CFP®、宅建士(未登録)、住宅ローンアドバイザー、証券外務員二種、エクセルVBAエキスパート

藤 孝憲

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