自動車保険の年末調整や確定申告をする方法
自分の車を仕事に関連して使うケースもあると思います。自動車保険料は所得税の保険料控除の対象ではありませんので、節税を図ることはなかなかハードルが高いです。保険と言ってもいろんな種類があります。いま加入している保険の見直しのためには、自動車保険の税制上の位置付けについて理解することが大切です。
ここでは、改めて自動車保険料の所得や税制上の位置付けについて、詳しく解説します。
自動車保険は保険料控除の対象外

任意加入の自動車保険は損害保険会社が提供する保険ですが、自動車保険料は所得税の保険料控除の対象とはなりません。
どんな保険契約を保険料控除の対象とするかは、財務省や国税庁、政府与党の判断で政策化され、最終的には法令として国会の議決を経て決められます。対象は時代の状況を反映して見直しが行われます。
例えば従来対象外だった地震保険料が控除の対象に含まれたこともあります。今後も見直しの可能性がないとは言えませんが、保険料控除を拡大すると税収が減り、その財源を確保しなければならないという国の事情もあります。
年末調整についておさらい!

「年末調整」とは、会社などの源泉徴収義務者が従業員など一人ひとりの所得税額を年末に確定し、必要な追加徴収なり還付なりを実施することです。サラーリマンなど給与・賞与がほぼすべての生計の糧である人の場合に、1年の所得税の精算・納付(あるいは還付)が簡単に済ませられるようにするためです。
所得税の保険料控除の対象になる「生命保険料」「損害保険料」については、会社は各従業員がどんな契約をして、どれだけ保険料を支払っているのか事前には把握していません。年末が近づくと従業員等に資料の提出を求め、提出資料に基づいて年末調整を行います。
年末調整で控除を受けられる保険は?

年末調整で所得税の保険料控除の対象となる保険は、生命保険では大きく3種類あり、損害保険では1種類だけとなります。
生命保険では、まず一般の「生命保険料控除」と「死亡保険」を対象とするもの、2つ目は「介護医療保険料控除」といって介護保障や医療保障を提供するもの、3つ目として「年金保険料控除」という老後保障をカバーするものの3種類があります。保険料がどのカテゴリーに当てはまるかを判定したうえで、一定の計算式に当てはめて控除額を算定します。
損害保険では、現在は「地震保険料」だけが保険料控除の対象になります。控除額は一定の計算式により算出します。自動車保険料は対象になりません。
事業用の場合は確定申告で「経費」にできる

自動車保険の中でも、企業などの営業車を対象とする場合はもちろんのこと、個人でも事業の用として契約している場合は、「事業所得」や「不動産所得」の経費として収入から差し引くことができます。つまり、いわゆる自営業の人は自動車保険の控除が認められる可能性があります。
現に仕事に必要な場合には、車に関連するその他の経費(例えば車のリース費用やガソリン代など)と同様に、自動車保険も経費の一部となります。しかし勤務先までの通勤にマイカーを使っているというような場合では、通常は自動車保険料が経費として認められることは難しいと思われます。
申請時に添付する書類や領収書は?

個人が自動車保険料を必要経費として申告する場合は、「事業所得」か「不動産所得」の申告がある場合と考えられます。事業の内容に沿って、必要な程度の装備を有する車を適正に使用していることが分かればよいと思います。
また、自動車保険契約の内容が分かるもの(「保険証券」など)と、実際に保険料をいついくら払ったかが分かる領収書なり、金融機関の取引明細なりを添付すればよいと思います。
事業に似つかわしくないタイプの乗用車などを使っていれば、税務署が経費に疑問を持つかもしれません。ケースバイケースですが、なぜ事業用に車が必要か、どの程度頻繁に使用しているかなどについてもある程度手元に整理しておけば、後で慌てないですむことになります。
まとめ
- マイカーの自動車保険料は所得税の保険料控除の対象外です。
- 個人でも自営などで、仕事のために車が必要な場合は保険料も含め必要経費になります。
- 経費になるのは仕事に必要な限りですので、車の種類や使い方も重要です。